ワーキング・グループ

WG1: ソフトウェアエンジニアリングの呪縛 WG

ソフトウェアエンジニアリングの呪縛WG
参加者募集のお願い

−108つの呪縛、7つの神話、23の未解決問題をまとめよう−

2010年6月9日〜11日に横浜にて開催されるソフトウェアシンポジウム2010で、「ソフトウェアエンジニアリングの呪縛ワーキンググループ(通称:呪縛WG)」を企画しております。このWGでは、ソフトウェアに関わる技術者、研究者、経営者、コンサルタントなどの多方面の方々に参加いただき、クールにソフトウェアエンジニアリングの現況を把握し、限界を見極め、課題を整理し、次のステップに進むための準備をしようと考えています。テーマが一風変わっていますがどなたでも参加できます。お誘い合わせの上、ふるってご参加いただければ幸甚です。

WGコーディネータ 大槻繁(一(いち))、濱勝巳(アッズーリ)

テーマ概要

 ソフトウェアは、業務領域、人間社会、物理世界などの実世界に置かれ、実世界と相互作用を及ぼし合います。サービスサイエンス(エンジニアリング)、クラウドコンピューティングのみならず、従来の情報システムや組込みシステムの構築などでも、今までとは異なる視点が要求されてきています。

 中心課題は、ソフトウェアの外側にあるのです。ユーザや人間中心のアプローチ、コンテクスト、様相、場(ば)を主題に据え、従来のソフトウェアエンジニアリングの限界を見極め、その「呪縛」から解き放たれるには、どうしたらよいかを討議いたします。

会場

 横浜市開港記念会館(http://www.city.yokohama.lg.jp/naka/kaikou/) 1号室

 (山下公園、元町、中華街にも近く、魅力溢れる場所です。)

主要日程

・4月中旬〜 WG参加者募集開始&メーリングリスト等での議論開始

・5月15日 WG参加のためのポジションペーパ締切

・5月20日 WG参加者決定(通知)、各自参加登録手続き開始

・6月 9日 シンポジウム第1日目 基調講演+WG企画の公開講演(1)〜(3)

・6月10日 シンポジウム第2日目 WG内での討議

・6月11日 シンポジウム第3日目 WG内での討議(午前)、WG成果公開発表(4)

・終了後   WG成果は、シンポジウムサイト、
       アジャイルプロセス協議会(知働化研究会)サイトなどで公開予定

WGとしての(招待)公開講演

公開講演は、呪縛WG参加者以外の一般のシンポジウム参加者も聴講できるものです。呪縛WGの討論の刺激になるテーマになっています。

・第1日目(6月9日:水曜)午後のセッション

13:00-14:00

(1)知働説:「呪縛」からの解放を目指して

   濱勝巳(アジャイルプロセス協議会 会長)

   +大槻繁(同 フェロー/ 知働化研究会運営リーダ)

      • 内容:アジャイルプロセスのもたらすインパクト、不確実性の正体とその対応、ソフトウェアへ自然体で向き合う事、言語ゲーム的転回などについて解説します。

   以降の講演、2日〜3日目のWG活動の目論見について紹介

14:15-15:15

(2)サービス科学とソーシャルeサイエンス

   橋田浩一氏(産業技術総合研究所 社会知能技術研究ラボ長)

      • 内容:サービスとは何か、サービス科学は可能か、目的に基づくサービス設計などの観点から、基幹業務情報システムの開発や医療サービスの事例を交えつつサービスイノベーションを論じます。

15:30-16:30

(3)連想検索:知の蔵を繋ぐための情報サービス

   高野明彦氏(国立情報学研究所 連想情報学研究開発センター長)

      • 内容:新WebcatPlusの開発に伴う、データ集めの苦労話や、マルチベンダーによるシステム開発、PC/iPhone/街の連携などについて紹介します。
・6月11日(金曜)午後のセッション

13:30-14:30

(4)ソフトウェアエンジニアリングの呪縛・神話・未解決問題

   大槻繁,濱勝巳(WGコーディネータ)

      • 内容:2日〜3日目の「ソフトウェアエンジニアリングの呪縛WG」の討議
           結果の披露、パネル討論など(適宜、プレス等の対応も致します。)

 

■WG討論の進め方

参加メンバの方々に、あらかじめ「テーマ概要」や「成果目標」の趣旨をご理解いただき、ポジションペーパ(形式は自由です)として、各自の考える「神話」を提示してもらうことにします。ポジションペーパには、以下の事項が含まれていることが望ましいでしょう。

(1)参加者の諸活動(仕事や研究など)のバックグラウンド

(2)感じている「呪縛(限界)」や問題意識

(3)自らが考える「神話(迷信・都市伝説)」の候補

(4)「呪縛」や「神話」を乗り越えるための新たな「問題設定(未解決問題)」と
    その先に開ける明るい地平のイメージ

これ等を披露してもらいながら、皆さんと討議を進めていきます。最後に、社会的インパクトのあるメッセージとして集約し、成果をまとめます。また、メール等を活用し、参加予定者間で事前に情報交換を行い、「呪縛」「神話」「未解決問題」の候補についても、あらかじめ収集して盛り上がりを図る予定です。

 

「呪縛」とは、「言葉によって、行動の自由を制限すること」です。

ソフトウェアエンジニアリングの呪縛というのは、ソフトウェア開発、プロジェクトマネジメント、要求定義、アーキテクチャ、プログラミング、テスト、品質保証、是等の経営、企画、営業、コンサルティング、研究などに携わる人々が、限界を感じている事項について、思いつくままに掲げてリストにしてみましょう。つまり判っちゃいるけどやらざるを得ないことです。(限界を感じる)規範的記述、(誤った)教えなどの表現形式をとるのがよいでしょう。

 呪縛001 工程が遅延したら人を投入せよ

 呪縛002 品質を上げるためにはテストを徹底的に行うしかない

 呪縛003 形式手法を使って仕様を明確にして高信頼化を達成する

 ・・・

といった項目をどんどん挙げていきます。108つ、否、千項目を超えるかもしれません。

 

「神話」とは、「崇拝する事物や力によって、人を説得する表現」です。

呪縛がたくさんリストアップできたら、これ等の背後にある思想、法則、定理などとして、集約してみることにします。人々が呪縛に捕われている元凶となるものを見つけていくことになります。分析的あるいは法則的記述などの表現形式をとるのがよいでしょう。神話は、それぞれが一冊の書籍(例えば『人月の神話』)になるくらい意味の豊富な「物語り」になると思います。ここでは、これ等の適切な命題をインパクトのある形で集約していくことになるでしょう。成果としての「神話」の候補イメージは、以下のようなものです。(あくまでも一つの些細な例です。)

 神話1 全体は部分の総和である。(分割して征服せよ:divide and conquer)

 神話2 ソフトウェアづくりは創造的活動である。

 神話3 要求はユーザが知っている。(お客さまは神さまだ)

 神話4 全ては機能に帰着する。(機能はタダではない)

 神話5 良いソフトウェアづくりにはモチベーションが必要だ。

 神話6 モデリングによって形式知化できる。(暗黙知、語ってしまえば形式知)

 神話7 人と月とは入替え可能だ。(人月の神話)

 

「問題」とは、「中心となるテーマを掲げて、意を問うこと」です。

神話の形まで表現することができたら、次は、これ等の神話を乗り越えて、次世代の明るい未来を切り開くためには、どうしたらよいかということになります。ここでは、これが解けたら世の中変わると思われるような、問題をリストアップしておくことにします。解けないことが証明されるかもしれません。このような「未解決問題」を世の中に提示しておくことは、将来の研究や技術開発の方向性を示唆することに繋がると思います。23個(ヒルベルトの未解決問題の数)くらい掲げられると美しいでしょう。

 問題01 並行プロセスには良構造(well-formed structure)が存在する。

 問題02 言語記述(行為)と文法との関係を分析可能な計算理論が存在する。

 問題03 情報財に関する価格決定の手法が、均衡理論の拡張として定式化できる。

 ・・・

 

  • 第2日目(6月10日:木曜)
    10:00~    趣旨説明、セッションの過ごし方、自己紹介
    ・・・~17:15 各ポジションペーパ披露+深い議論(夜は自主的懇親会(中華街))
  • 第3日目(6月11日:金曜)
    10:00~    「神話」メッセージのまとめ
    ・・・~12:30 (早めに終了したら自由研究or散策)

■成果目標

 ソフトウェアエンジニアリングの呪縛を示す「(7つの)神話」という簡潔なメッセージとしてまとめます。

 参加者の合意が得られれば、記名入りの英和対訳ドキュメントとして公開します。このドキュメントはアジャイルプロセス協議会(知働化研究会 http://www.exekt-lab.org/)などの関連コミュニティでも公開し、多くの方々に活用していただくことにします。

 各参加者の方々のポジションペーパ、「神話」にまとめる際に材料となった「呪縛」、さらには、「未解決問題」などについても、成果物の補助資料として編集・まとめることとします。

■参加料と申込方法

  • ワーキング・グループ参加者:
    25,000円 (SEAまたは協賛団体会員), 15,000円 (シルバー会員), 35,000円 (一般), 5,000円 (学生)
  • 講演など公開プログラム参加者:
    10,000円 (SEAまたは協賛団体会員), 15,000円 (一般), 3,000円 (学生) (一日券もあり)

 

 呪縛WGに参加ご希望の方は、下記のフローに従って検討を進めていただき、参加申込要領のページ( http://oide-osaka.org/ss2010/entry.html )からお申込ください。人数の関係等で参加をお断りすることがあります。その際、ポジションペーパを参考に決定します。

 なお、アジャイルプロセス協議会(http://www.agileprocess.jp/)の会員は、割引があります。協議会会員でない場合には、新たに入会登録することによって割引を受けることができ、差額が相殺される場合もありますので、この機会を逃さず会員になっていただければと思います。

 

申込フロー

 

■お問い合わせは、otsuki.s @ exekt-lab.org, katsumi.hama @ exekt-lab.org まで気楽にどうぞ。